第9回

「チェルノブイリ被災地をモデルとした原発解体作業に伴う被ばく影響の基礎的研究」

平成24年2月28日

PORTA神楽坂 18:30 - 20:30

 

獨協医科大学 国際協力支援センター 国際疫学研究室 教授 三浦善憲 氏

 

チェルノブイリ原発事故と住民

1986年4月26日ソビエト連邦(現ウクライナ)チェルノブイリ原子力発電所4号炉で起きた原子力事故は、高濃度の放射性物質で汚染された地域を居住不可能とし、約16万人が移住を余儀なくされた。事故発生から1か月後までに、原発30km以内の約11万6千人全てが移住したと政府より発表された。しかし、一部の住民は土地から離れることを望まず、移住せずそのまま生活を続けた。

ナロージチ地区

チェルノブイリから西70kmに位置するナロージチ地区は、自然放射能の30万倍にあたる

30mSvの放射能に汚染されたと言われる地区で、地区内に強制移住対象地域、移住権利を有する地域、希望で移住可能な対象地域、健康管理指定地域の4つのゾーンを抱えている。

経済的・政治的理由により、この地区には1万人強の住民が生活している。

食料配給も途絶え、住民は事故以前からの自給自足を続けているが、半減期の影響で外部被ばくは年々減少しているものの、内部被ばくの影響が高くなっている地域である。

調査

この地域住民を対象に放射能汚染地区別に、年齢や人口構成、罹患数、死因などを算定している。新たな試みとして、地区住民のホールボディカウンター計測を実施。

過去50年来の住民資料もあり、事故前から現在の生活・健康に関する聞取り調査も実施。

 ←講演中の三浦先生

福島の展望

内部被ばくの長期的影響を調べることの重要性は、3.11以降にあらためて認識されるようになったが、この調査は福島をはじめとする被災地域の、放射線長期被ばくの影響を算定することに役立つと確信する。

福島県二本松市に獨協医科大学国際疫学研究室福島分室を開設し、住民約700名の内部被ばく調査の結果、最大で0.143mSvであり、許容内との結果が出たが、今後も注意を払うべきであることに変わりはない。

チェルノブイリの調査は、NHKや他の専門家、他の大学の協力を得て、データを蓄積している段階であり、平成24年度には一つの形に整えたい。