第61回 東京都に於ける医療連携・医療介護連携の問題点

平成29年11月28日(火) 18:30~20:30 ポルタ神楽坂

概要

病院間・病院ー診療所間の電子カルテ連携とSNSを用いた医療ー介護連携の問題点についてお話し頂きます。

 

講師 : 目々澤 肇 氏

             目々澤醫院 院長 医学博士 

 

1981年 獨協医科大学医学部卒業

1987年 日本医科大学 医学博士

     取得

1988-90年 スウェーデン・ルン

            ド大学医学部実験脳研究

            所留学

1993年 スウェーデン・ルンド大

            学医学部 Ph.D.取得

1993-97年 日本医科大学付属第

             一病院内科 医局長

1994-98年 日本医科大学内科学

             第二講座 講師

1998-99年 日本医科大学北総病

             院脳神経センター 副所長

1999年 日本医科大学内科学第二

             講座 兼任講師、現非常勤

                                                                    講師

                                                       1999年 医療法人社団茜遥会

                                                                    目々澤醫院 院長

                                                       2011年 東京都医師会 理事

所属学会・資格・役職

医学博士、Ph.D.

日本頭痛学会 評議員・専門医

日本脳卒中学会・日本老年精神医学会 専門医

日本医師会 認定産業医

 

病院間・病院ー診療所間の電子カルテ連携とSNSを用いた医療ー介護連携の問題点

 

 近年のインターネットを介した情報伝達の発展は目を見張るものがあります。医療においては標題の電子カルテ連携と医療介護連携のほか、遠隔医療や遠隔死亡確認などの電子化まで話が広がっています。

 2025年問題を抱えるわが国の医療は住民が住み慣れた地域で自分らしい暮らしを続けることができる「地域包括ケアシステム」の構築をめざし医療機関同士の連携を進め、さらに医療機関同士だけでなく医療と介護の多職種・地域福祉を含んだ行政との連携を有機的に行う必要が生じています。

 

 

 

 電子カルテを有機的に連携させることが出来ると一般的には以下のようなメリットが生じると言われています。

 

 

    受診医療機関によらない、同じ情報に基づいた適切な医療の提供、

 

    患者自身では全ての説明は困難な情報も開示・参照されることによる安全性の向上、

 

    医療機関が診療を行う際の安全・安心の提供、

 

    ICTによる効率化医療従事者の労働負担軽減、

 

 重複検査等の防止による医療費の削減、

 

    ポリファーマシー(過剰投薬)の防止、などです。

 

 

ところが病院間・病院ー診療所間の電子カルテ連携は技術の標準化が進んでいるように見えていまだ高額なサーバー構築を求める局面があり、ごく限定した地域の医療機関を結ぶだけでも億単位の予算が必要であり、かつ以前に厚生労働省(以下厚労省)の地域医療確保総合基金などを用いて構築されたものでは更新が必要となりこれまた巨額の必要経費が発生します。

 

翻って東京都では国の医療までをもリードするような病院が数多く存在し、それらはお互いにネットワーク形成を行うことはなかなか困難であり、地方で行われているような「地域医療を牽引する複数の病院が中核となって周辺診療所を結んだネットワーク」形成などまるで夢物語、というのが現実でした。

 

 

 東京都民の受療行動を観察すると、急性期には都心部の大病院へ集中する傾向があり、逆に慢性期・回復期には都内外周部もしくは周囲県の医療機関に移動・拡散する傾向があります。

 このため、医療連携ネットワーク構築に当たっては東京都全域をカバーするシステムが必要です。

東京都医師会では新たなサーバー設置を行わず広域電子カルテ連携をめざす「東京総合医療ネットワーク」を企画検討し、このたび運営協議会を発足させ、明年早々の稼働を目指しております。

 

 

 医療ー介護連携はそれまでスマートフォン(スマホ)やパーソナルコンピュータ(以下PC)を用いたSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)が一部の地域で用いられていましたが、平成25年に在宅医療介護連携促進事業が施行されたことに伴い整備が進みつつあります。

 東京都内ではその時点ですでに複数のシステムが稼働したため、都内全域での統一が出来ずあたかも「群雄割拠」のごとき状況となってしまいました。

 実はこれらの連携は一部では業務専用のスマホやPCなどの端末で行われているものの、それらとは別にあるいは並行して個人持ちの端末の利用(BYOD:Bring Your Own Device)が東京都医師会での集計で約70%に上っていました。

 しかし、本年5月に行われた個人情報保護法改正に伴って発出された医療情報システム安全管理ガイドライン第5版では「BYODは原則として行わず、機器の設定の変更は管理者のみが可能とすること」との一文が記載され、現場の混乱が始まりました。

 これは医療介護連携のみならず、すでに普及が始まっている医師同志の診療相談システムや個人診療所での往診・在宅診療にまで個人所有の端末利用が許されなくなることを意味します。

 このことについて東京都医師会では日本医師会・厚生労働省に対しガイドラインの見直しを要求した活動を始めています。

 今回はこれら二つのテーマに関し、東京都医師会の取り組みをご紹介いたします。

 

懇親会にご参加の皆様

 

目々澤先生 著書・論文

 

【著書】

「脳梗塞超急性期-Brain attack 時代の診断と治療-」 医歯薬出版株式会社、2001、

「脳虚血と高体温・低体温」  脳卒中ハンドブック、ヴァンメディカル、2001、Therapeutic Time Window

 

【論文】

1. 斎藤義朗、目々澤肇:一過性全健忘を伴った片頭痛の一男子例. 脳と発達, 42(4): 303-304, 2010

2. Uchiyama S, Goto S, Matsumoto M et al.:

Cardiovascular event rates in patients with cerebrovascular disease and

atherothrombosis at other vascular locations: results from 1-year outcomes in

the Japanese REACH Registry. J Neurol Sci. 287:45-5, 2009 (1 of 336

Collaborators)

3. 目々澤肇、片山泰朗、小林士郎: 高血圧を有する片頭痛に対するARB使用の経験-バルサルタンの片頭痛予防効果-. 日本頭痛学会誌, 33(2):109, 2006  

4. 目々澤肇:トリプタン剤登場以後の片頭痛治療成績. 江戸川医学会誌. 20: 18-21, 200