第51回 勉強会

「ロシアの対外政策と日ロ関係」

平成28年11月21日 (月) 18:30~20:30

PORTA神楽坂ビル6F 理窓会第一会議室

 

概要

  クリミア併合、ウクライナ東部地域へのロシアの関与、シリア情勢への

  関与などプーチンは欧米諸国との対決姿勢を強めています。油価の低

  迷、経済政策の逆風の中で孤立をも辞さないロシアの対外政策につい

  て、また、12月のプーチン大統領訪日を踏まえた今後の日ロ関係につい

  て私見を交えてお話しできればと思います。

 

内田 一彦 氏

 

1956年  北海道室蘭市に生まれる

1975年  都立国立高校卒業

1980年  北海道大学経済学部卒業

1980年  外務省入省

       その後、在ロシア大使館、在カザフ

       スタン大使館、在ユジノサハリンス

       ク総領事館等で勤務

2003年~2007年 外務省ロシア交流室長

2007年~2009年 在サンクトペテルブルク

       日本総領事館首席領事

2009年~2010年 在ウズベキスタン日本

       大使館参事官

2011年  外務省退職

                       2011年より日本たばこ産業㈱に入社

                                                                                 たばこ事業本部渉外企画室外交担当部長

 

1.イントロダクションとして~ロシア社会の雰囲気~

 1)内政 大統領への支持と政府に対する不信感

      ・プーチンのカリスマ性と高支持率

      ・メドヴェージェフ政府への信頼は低い

      ・国民の最大の関心事は、対外政策よりも賃金、物価、貧困、

       雇用、保健

・経済停滞の長期化への一定の覚悟と倦怠感も

 2)外交 報道コントロールと世論扇動

      ・ウクライナ問題は影が薄くなり次第にシリアへ

      ・親トルコ感情は一挙に反トルコ感情に転化

      ・反オバマ感情は強く、新大統領トランプへの期待大

2.プーチンを取り巻く政治家、縁故実業家

       プーチンの後継者として有力な候補はいるのか

       縁故実業家の存在と影響

3.ロシア外交の基本~マッチョな外交~

      米国一極主義の打破

      ・多軸外交(SCO,BRICS、中国との蜜月など)

      ・核保有軍事大国としての威信保持

      ・ロシア勢力圏(影響圏)の確保は核心的利益、軍事力行使も

       辞さず

 

 

4.ロシアへの逆風

 1)欧米諸国による経済制裁

      ・ウクライナ制裁

       2019年までの経済制裁継続を想定(輸入代替、東方重視)

      ・シリアでも追加制裁か?

 2)石油価格の下落・低迷

      ・長期低迷を覚悟(歳出削減、国営企業の民営化、産業の多角

       化)

5.ロシアへの影響と耐久性

      ・エネルギー資源依存型経済の行き詰まりは制裁導入、石油価

       格下落の以前からの現象であり経済構造の再編成は不可欠な

       ものと認識

      ・石油価格の下落はロシア経済を直撃しているが、安定化のた

       めの基金(予備基金、国民福祉基金、外貨準備)が当面の困

       難を回避

・制裁は輸入代替、産業の多角化を促進

      ・西側制裁に対抗する農産物と食品の禁輸措置は国民の生活に

       影響がでない範囲に限定

      ・強靭な忍耐力を発揮する国民性(悲惨な戦争体験、ソ連崩

       壊)

6.ロシアは孤立しているのか

      ・「孤立しているとも思わない」

        G20、中国との蜜月、BRICS、トルコとの和解、イランと

        の協力+日本からの経済協力も?

      ・「対決していると思わない」

        ロシアの国益があるのみ

      ・それでも、ロシアのリベラル派の代表的存在のクドリン元財

       務相は、「(外国投資を誘致するためにも)地政学的緊張を

       引き下げる」よう要請。

 

7.ロシアからの反撃

      欧米に対するハラスメント

        サイバー攻撃、米大統領選挙への介入疑惑、中東政策での

        対抗、ICBM発射実験、カリーニングラードへの戦術ミサ

        イルの配備、難民問題とBREXITを利用した揺さぶり、農

        産物禁輸措置の継続、トルコの切り崩し

8.ロシアの東方重視の狙い

       ・東方重視政策の始まりの由来(漠然として中国への脅威認

        識)

       ・最近の東方シフトは世界的なエネルギー需給の変化、ウク

        ライナ問題に派生する欧米との対立から

       ・日本からの積極的なアプローチも東方シフトを加速

 

9.日ロ関係はWin-Winの関係を築けるのか

       ・ロシア:経済関係は進めたいが領土で譲歩はしない

       ・日本:ロシアの国際情勢におかれた状況を利用しつつ経済

        協力を梃に領土問題を進めるとともに、ロシアとの関係の

        改善により中国を牽制する

       ・すれ違いはないか

        「経済協力」が領土を返還させるのか

        現下の国際情勢は日本に有利なのか

        中露関係に楔は打てるのか

10.日ロ関係進展の鍵

       ・経済実利に基づいた日ロ経済協力の推進

       ・東アジア・極東地域の安全保障についてロシアと認識の共

        有

       ・信頼関係の構築と人的交流の活発化(ビザ制度の全面的な

        緩和、首脳間対話の制度化)

       ・領土問題の解決を急がない(禍根を残さない)

11.おわりに

 

 

懇親会にご参加の皆様