第38回  安倍総理米議会演説を終えて

       今後の日米外交ー自主防衛か日米安保か?


川上 高司 氏 (カワカミ コウジ)

拓殖大学 海外事情研究所

所長・教授

 

【略歴】

1955年熊本県生まれ。大阪大学博士(国際公共政策)Institute for Foreign Policy Analysis(IFPA)研究員、()世界平和研究所研究員、防衛庁防衛研究所主任研究官、北陸大学法学部教授を経て現職。この間、ジョージタウン大学大学院(ペンタゴンプログラム)留学、RAND研究所客員研究員、参議院外交防衛委員会調査室客員調査員、神奈川県参与(基地担当)()国際間題研究所客員研究員。

 現在、拓殖大学海外事情研究所所長・教授の他、中央大学法学部兼任講師、NPO法人外交政策センター(FPC)代表、()国際情勢研究所委員、フレッチャースクール外交政策研究所研究顧問などを兼務する。

主な所属学会は、国際政治学会、アメリカ学会、国際安全保障学会、日本政治学会、ISAIISS 


     冒頭で安倍総理の今回の米国訪問に同行されて、米国上下両院総会に於ける演説の現場に立ち会

     われた感想、その事前準備、米国議員や識者の反応を報告されました。

     報道よりも臨場感があり、反応の微妙な部分の解説は大変貴重なものでありました。

     日本側の周到な事前準備にも触れ、演説草稿の先生の案による文言部分のご紹介などがありまし

     た。

     

     先生は非常にご多忙であり、当日の講演原稿も直前まで作業して頂きましたが、何よりもお話の内容

     が我が国の方向性そのものであり、興味深く我々も真剣に考えなくてはならないテーマです。

     今後も先生には当会で講演をお願いする予定であり、皆様にはぜひ会場においで頂くことをお勧めし

     ます。

 


安倍総理米議会演説を終えて

今後の日米外交-自主防衛か日米安保か?

How much is enough?

拓殖大学教授 川上高司

1.日本の安全保障制度の確立-与党間の合意で決着-

  • 与党安全保障制度の基本方針が合意(3/20)、新安全保障政策具現化→戦後日本の重要な転換点
  • カーター米国防長官「日本が地域と世界で我々を助ける。非常に前向きな動き」(3/18)

  • 周辺事態法改正、地理的制約削除し、米軍や米軍以外の他国軍への後方支援が海外でも可能。米軍、豪軍等他国の軍隊への後方支援の範囲拡大。

  • PKO等で自衛隊武器使用基準緩和、米軍中心有志連合の人道復興支援や治安維持活動参加容易

  • 米海軍第7艦隊のトーマス司令官は「将来的に海上自衛隊が南シナ海で活動することは理にかなっている」と語り、日本周辺に限定した海自の哨戒活動を南シナ海にも拡大に期待。

  • 「恒久法」制定も日本の防衛力に柔軟性 →米軍は自衛隊をcount on可能、世界規模での軍事作戦を立案できることになる。

  • 今後の日程: 412日統一地方選(知事選・道府県議選等)、4月下旬に日米防衛協力のための指針」(ガイドライン)改定され、直後に安倍首相訪米、首脳会談、米議会でスピーチ。5月中旬安保法制関連法案を閣議決定、国会提出。そこで国会で論議がなされ624日の通常国会会期末までに決着される予定であるが、審議が長引く場合には大幅延長さら8月中に成立予定。

2.日本が「普通の国」となる道筋

  • 第二次安倍政権が発足後、集団的自衛権の行使容認、NSC創設、秘密保護法制定等課題を解決。
  • 防衛法整備で「歴史的転換」→「普通の国」の道筋→「今やらなければならない喫緊の課題
  • 「普通の国」=自国の国益」→「防衛政策」→「国内法や国際法によって制約」
  • 日本はこれまで、「憲法第九条」制約→限られた「防衛政策」
  • 「今やらねばならない喫緊の課題」→ RegionalSub RegionalGlobalの脅威にシームレス
  • 「普通の国」となる道筋→ 米国および国際社会とそれだけの課題に対して責任ある国家として軍事上の対応をすること。その結果、国際社会で「普通の国」との評価を獲得得。
  • 日本の戦略環境→ 中国の軍事的脅威増+米国のパワーの相対的低下→日本の脅威増

  • 日本が集団的自衛権の行使容認、米国を巻き込み抑止増→中国脅威抑止
  • 日本の防衛=自主防衛<日米安保 → 自由防衛>日米安保
  • 自衛隊の→RegionalSub RegionalGlobal =米軍は自衛隊をcountするようになる。

 3.安倍政権の新たな安全保障政策Regionalから Sub-regionalへの自衛隊の積極的展開

  • 日本の限られた防衛予算や装備→ How much is enough?
  • 中東地域に日本がどの程度かかわるか、
  • 中東<南シナ海<東シナ海(国益の優先順位の問題)(日本の防衛力のアセットの問題)
  • それぞれの地域での日本国益優先度判断→日本の防衛力(asset)の使い方
  • 多国籍軍演習→キーン・ソード(離島防衛、日本南方海上演習)、南シナ海でフィリピン海軍も交えた訓練、海上自衛隊の輸送艦に米豪両軍の約140人が乗り、合同で東南アジア訪問、オーストラリア海軍艦艇が米空母ジョージ・ワシントンの船団に参加し、在日米海軍基地へ寄港
  • 豪州軍は2016BMDのためのイージス艦を導入→日米豪の情報共有
  • 海上自衛隊、第七艦隊が活動する西太平洋からインド洋地域で、日米豪の協力強化

熱心な会場風景



最後に参加者との自由な意見交換が行われ、当会の多彩な会員と当日参加者から意見が出され、先生から解説回答を頂き、瞬く間に終了時刻となりました。


懇親会