第23回 高齢化する社会インフラへの対応

         -道路橋メンテナンス技術の開発ー

平成25年9月6日(金) PORTA神楽坂 18:30~20:30

 

 

木村 嘉富 氏 (Kimura Yoshitomi

 

   独立行政法人 土木研究所

  構造物メンテナンス研究センター

  橋梁構造研究グループ 上席研究員

 

 

 

 

   昭和62年 長岡技術科学大学大学院 建設工学専攻 修了

      昭和62年 建設省 中部地方建設局 名四国道工事事務所 調査第一課 採用

   平成元年  土木研究所 構造橋梁部 基礎研究室

   平成11年 国土庁 計画・調整局 総合交通課 専門調査官

   平成13年 独立行政法人 土木研究所 企画部 研究企画課長

   平成16年 国土交通省 中部地方整備局 沼津河川国道事務所長

      平成18年 三重県 県土整備部 総括室長(道路政策) を経て平成20年より現職

 

◆概要:我が国の社会経済活動を支えてきた社会インフラが、今後急速に高齢化してきます。道路橋においても通行止め等を行わざるを得なくなった橋が増加しており、海外では落橋に到った事例もあります。このような状況に対応するため、土木研究所では5年前に構造物メンテナンス研究センターを設立し、メンテナンス技術の開発に取り組んでいます。今回は、道路橋の高齢化の現状と、今後必要とされるメンテナンス技術、その開発への取り組みについて紹介します。

 

◆建設後50年以上経過する社会資本の割合

                                                                                           出典:国土交通省 

◆【図Ⅲ-16】維持管理を支える人材の高齢化と減少

            国土基盤ストックの維持管理を担う公務部門の技術者、作業者は既に高齢化しており、現状

     のまま推移すると、2060年には2005年と比較し半分以下となると予測される。

◆日本の道路橋

◆橋での力の流れ

◆プレストレストコンクリート

          あらかじめ圧縮力を導入する

                -(圧縮力の貯金)

                -ひび割れが発生しにくい

           -耐久性にとみ、剛性も高い

◆日本の道路橋

◆道路橋の点検(直轄管理)

                           点検の体系

 

◆基本は点検:5年ごとに全部材へ近接目視

              ・直轄国道の橋梁点検は、「橋梁定期点検要領(案)」(平成163月)に基づき実施

              ・供用後2年以内に初回点検を実施し、2回目以降は5年以内に実施

              ・近接目視により、26種類の損傷種類に対して点検を実施

              ・対策の必要性について7段階で判定を行い、点検調書、橋梁管理カルテに記録

                         講演中の木村先生
                         講演中の木村先生

◆橋梁長寿命化修繕計画(青森県)

                     出典:東京都 橋梁の管理に関する中長期計画

◆道路橋部材の損傷リスク評価(英国道路庁Highways Agencyの例)

              英国Highways Agencyでは、破壊可能性と破壊による影響から、信頼性指標

     (Reliability    Performance Index)を算出し、管理計画に反映

◆道路橋部材の損傷リスク評価(英国道路庁Highways Agencyの例)

 

◆地方公共団体の長寿命化修繕計画に基づく修繕実施状況の推移

       修繕実施済橋梁数              修繕実施率

                                   出典:国土交通省HP

CAESARの担う役割

          講演中の木村先生
          講演中の木村先生

◆現場の支援・技術相談

◆塩害による鋼材腐食の発生

   海からの飛来塩分

   塩分付着

   かぶりコンクリートへの塩分浸透

   アルカリ環境下で安定していた鋼材表面の不動態被膜のClによる破

◆塩害により鋼材腐食の生じたポストテンションPC桁財の載荷試験

              H21に実施された詳細調査にて、全PC鋼材8本のうち2本にて一部素線破断を確認

                         損傷図(載荷試験前)

◆載荷試験

            講演中の木村先生
            講演中の木村先生

◆実構造物でのデータ蓄積

              沖縄県離島架橋100年耐久性検証プロジェクト

◆沖縄塩害橋脚調査

              厳しい塩害環境である沖縄の海中橋脚を対象に塩分調査を実施

              かぶりの面的な剥離

                            塩分濃度の高い海面付近で、隅角部の軸方向ひび割れ、面的な剥離を確認

◆アルカリ骨材反応とは

   反応性を有する骨材が、強アルカリ環境下(コンクリート中)で反応して、

   アルカリシリカゲルを生じ、水分が供給される環境下でコンクリートに、

   異常な膨張やひび割れを生じさせる劣化現象

◆主鉄筋やPC鋼材に沿ったひび割れ

◆社会資本の維持管理・更新に関し当面講ずべき措置(国土交通省 平成25321日)

 課題  :非破壊検査等による点検・診断技術等の開発・導入等の促進

 主な対応:非破壊検査等による点検・診断技術等につき、研究開発の促進に加え、新技術情報提供

      システム(NETIS)等を活用し、既存技術も含め、現場への試行的な導入を促進

      その際、分野横断的な情報共有を徹底し、技術の適用性、効果等を確認し、評価結果の

      公表、認証する制度の充実を図るなど、さらなる普及を推進

◆X線透過法によるPC桁グラウト調査

              X線CT撮影(シース管部の断面を表示)

                            撮影時間30

                            シース管内部の鋼線が一本ごとに見え、グラウトの様子が良くわかる。

◆新しい非破壊検査技術:中性子線

◆モニタリング技術

 社会資本の維持管理・更新に関し当面講ずべき措置(国土交通省 平成25321日)

 課題  :IT等を活用した維持管理イノベーション

 主な対応:モニタリング技術等について、平成25年度から維持管理等に対するニーズを踏まえた

 ITの先端的技術の適用性等の検討を行い、インフラでの実証等により検証

 実橋梁(損傷橋・撤去橋)や撤去桁の載荷試験時で振動計測を実施

 

◆研究事例(力学的損傷を大きく受けた PC橋での振動計測)

 

◆振動計測法

            重錘落下法【土研、PC建協、日本航空電子工業()

◆研究事例(載荷試験中の振動特性変化)

              プレテンション桁(中川橋側道橋)

◆道路メンテナンスサイクルの構築に向けて

        「第4回道路メンテナンス技術小委員会」(平成25513日会議資料より作成)

◆全視野ひずみ計測 【長崎大、佐賀大】

◆レーザーを用いた変位計測 【()ソーキ】

 

◆ひび割れ検知センサ 【()東京測器研究所】

                          講演会 会場
                          講演会 会場

木村嘉富氏 著作・論文

【研究論文(第一著者以外を含む】

塩害を受けたRC床版橋の載荷試験(2011年)土木技術資料

複合化を受けたRC桁の耐荷性能評価(2011年)コンクリート工学

3.95MeVXバンドライナックスX線による橋梁コンクリート材の非破壊検査(2011年)日本加速器学会

                   他多数

【著書(共著】

橋梁の耐震設計と耐震補強(1998年)技報堂出版

杭・ケーソン。鋼管矢板および地中連続壁基礎の設計計算例(2000年)山海堂